魅惑の絶対君主
「た、煙草終わったらまた訓練ですか?」
鼓動を誤魔化すように、つい早口でそんなことを口走ってしまう。
「いいや。たった今予定が変わった」
相楽さんは煙を吐きながら、ゆっくりとそう答えた。
「アパートに電子辞書取りに行こうか」
「……え?」
「トンチキ和訳じゃみんなに笑われるでしょ」
「っ、でも学校はもう……」
こちらが首を傾げてるうちに、煙草を灰皿に押し付けて。
「善処するって言ったじゃん」
目を丸くするわたしを置いて、相楽さんは部屋へ戻っていった。