魅惑の絶対君主
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話を聞けば、明日の月曜から今まで通り学校に通うことの許可が事務所からおりたらしい。


ダメ元で頼んで見たところ、思いのほかあっさり了承してもらえて、相楽さんもびっくりしたんだとか。


『俺の事務所からの信頼が厚くてよかったね』と言っていた。



相楽さんの車に乗って通学することが条件で、どうしても送迎の都合がつかないときは、同僚の人に頼むというハナシ。


もちろん、オークションまでの間──正確に言うと、夏休みまでの約2ヶ月足らずの間だけ、にはなるけど……。


ひとまず胸をなでおろす。


あいさつもなしにレオくんと別れることにならなくて本当によかった。

それに、もうしばらくは人間らしい生活を送れる。


当たり前だったはずの日常が急に尊いものに思えてきた。



「ありがとうございます、事務所の方に頼んでくださって」


──現在、電子辞書をアパート取りに戻って、その帰りの車の中。

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