魅惑の絶対君主


返事は「うん」とひとことだけ。


アパートに向かうときも、今の帰り道も、会話らしい会話はほとんどなかった。

ラジオも音楽も流れていない。


でも、不思議と沈黙に気まずさを感じることはなくて。


走行音だけが響く車内の助手席にゆったりと座りながら、景色が流れる様子を見つめる。

ただそれだけの、とても心地いい時間だった。


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