魅惑の絶対君主


でもまあ、逃げも隠れもしない、1回だけでいいってちゃんと言ったもんね。

たった今言質はとったからね。

男に二言はない! だよね。


それでは失礼して、1回だけ……。



「………」
「………」


集中しようと思うのに、荒れ狂った心臓の音が邪魔をしてくる。


うるさいうるさい、収まって。

これは仕事っていうか……事務的なキスだから……!


切り替えてもう一度トライするも、恐ろしいほど整った顔のオーラに圧されてごく、と息を呑む。


わたしたちの間にはバリアでも張られてるんじゃないかってくらい近づけない。



「目を閉じてくれませんか……?」


いったん体を離してからそうお願いすれば、思いのほか素直に閉じてくれた。


今度こそ……。


身を乗り出して、相楽さんの肩に手をかける。


あと15センチ……10センチ……5センチ……。


チュッとするだけ。
ただ一度、チュッとするだけ。

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