魅惑の絶対君主

震える唇を、なんとか、重ねた。

刹那、ドッ……と脈が大きく跳ねる。



そのキスは、初日と昨日の甘い感覚を一瞬で呼び起こした。


体の芯が、火がついたように熱くなる。

それとは裏腹に、頭がふわふわして、浮力の中にいるみたいで。



「よしよし、合格。上手にできたね、えらい」



褒め言葉と同時に離れていく体を追いかけたのは、無意識だった。



「ん、どーしたの」

「……え? ……あ」

「袖なんか掴んできて……もしかして、物足りないんだ?」

「っ、違──……や、わかん、ない」



胸がぎゅっと締まる。

同時にじわっと涙が滲んで、これじゃあ図星ですって言ってるようなもの。



「今、どんな感覚?」

「……体、ぜんぶ熱くて気だるい感じ……あとなんか、奥のほう……じくじくって、切ない……」



感じる通りに言葉にしてみるけど、漠然としていて、
つまりこれが何なのか自分でもよくわからない。

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