魅惑の絶対君主


もしかしたらとんでもないことを口走ったんじゃないかと、時差を経て焦りがやってくる。



「やっぱ初めっから段階踏むべきだったかな……」



やれやれといった様子で、相楽さんは再び雑に抱き寄せてくれた。

ハッとして胸板を押し返すけどびくともしない。



「キスと気持ちいいこと同時に教えたせいで、軽く唇が触れただけでも、条件反射で体が反応するようになったんだろーね」

「……? ……??」

「ま、商品としては優秀ってことだからよかったじゃん」



まるで他人事のような『よかったじゃん』に、素直に喜べるはずもなく、

相楽さんの腕の中でじっと息を潜める。



「約束通りもう寝てもいいけど、切ないの治りそう?」

「………」

「明日“全然眠れなかった”って文句言われても困るし、体勝手に借りるよ」



直後、パジャマの隙間から入り込んだ指先が、つーっと素肌をなぞったかと思えば。

いつも通り焦らす素振りもなく、的確にわたしの弱い部分を捉えた。

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