魅惑の絶対君主
レオくんは昔から正直で、親しい相手にはお世辞なんて言わない人だった。
今の言葉はわたしに意地悪を言うために放ったんじゃなく、ただわたしという人間のステータスを冷静に分析しただけにすぎない。
それがわかるからこそショックだった。
わたしって……、もしかして自分が思ってるより能ナシ?
「冬亜ちゃんは母親のことをほっとけないって言ってるけど、僕からすれば冬亜ちゃんも同じくらい危なっかしいからね」
「ええっ、そんな」
「なんか緊張感がないっていうか。小さいときから家庭環境サイアクだったとは思えないほどのほほーんとしてるし」
「の、のほほーんとしてるつもりは……」
「あんな家で育った奴は普通、根暗で人間不信でネガティブなひねくれ者になるんだよ、僕みたいに。どうして冬亜ちゃんが年中にこにこしてられるのか疑問でしょうがないよ」