魅惑の絶対君主
ぶんぶんと首を横に振る。
せっかく一時的にあのマンションから解放されたのに、なに相楽さんのことを考えてるんだろう。
あの人は敵。
3ヶ月後わたしを地獄に送り込む張本人。
学校にいるときくらい、いいかげん暗い現実からは離れたい。
相楽さんのことは考えないようにしよう。
──そう決めたのに。
英語の時間に和訳を発表するときには、電子辞書をわざわざアパートに取りに行かせてくれたことを思い出したり。
お昼休みに3年生の集団とすれ違ったときには、「真ん中の人、相楽さんの後ろ姿に似てるな……」って、つい目で追っちゃったり。
振り返れば、結局一日中考えていた気がする。