魅惑の絶対君主
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部屋に帰り着いたのはちょうど17時。

真っ先にお風呂に向かってスイッチをオンにする。


相楽さんが帰る前に入ってしまえば、一昨日みたくお風呂で訓練、なんてことにはならないはず。


頭も体も一通り洗い終えて、ゆっくりと湯船に浸かった。


ちゃぷん、ちゃぷん……。

肩にお湯をかけていると、またしても思い出してくる。



──『はは、相変わらずここよっわ』

──『撫でてるだけなのに……冬亜感じすぎ』



耳元で囁かれたセリフが頭の中をいったりきたり。

実際に触れられてるわけでもないのに、その部分がじんわりと熱を持つ。



もう、やだ……。

わたし、本当にみっともない。


相楽さんといると、どんどんおかしくなっていく。
自分が自分じゃないみたい。



目の奥が熱くなって、ぽろぽろと涙が溢れてきた。


こんな自分やだ。

嫌い、嫌い、嫌い………──。



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