魅惑の絶対君主
お風呂からあがっても、夜ご飯を食べ終えても、相楽さんは帰ってこなかった。
わたしは先に歯磨きを済ませて、テーブルに課題を広げる。
今日は数学だけ。
今やってる単元の問1から問5までを解けばいいだけだから、すぐ終わりそう。
……と、思っていたけど、なかなかに手強かった。
教科書に書いてある説明だけじゃ、さっぱりわからない。
今日の授業の復習だから、ノートに詳しく書いてるはず……と思って開いてみたけど、途中で式が途切れている。
そういえば、頑張って理解しようと黒板とにらめっこをしているうちに、板書のスペースなくなって先生が消しちゃったんだった。
こんなことなら、レオくんに写させてもらえばよかった……。
後悔に苛まれながら机に突っ伏す。
すると、だんだん眠気が襲ってきた。
うとうと、うとうと。
部屋の時計は、夜の8時半を差している。
まだ時間あるし、15分くらい仮眠を取ってから考えよう……。