魅惑の絶対君主
すぐそばにあるソファまで歩いて、ぐたっと横になる。
目を閉じると間もなくして意識が落ちた。
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「……──冬亜」
体がゆさゆさ、揺すられている気がする。
誰かの声も聞こえる。
わたしのことを呼んでるの……?
でも、まだ眠くて眠くて。
もうちょっと寝かせてほしいなあ……。
なんか最近、色々考えることが多すぎて、疲れちゃうんだよね……。
「……冬亜、起きな」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
あ……この感じ、思い出した。
レオくんだ。
休み時間に机で居眠りしていたら、いつもレオくんがこうやって起こしてくれるんだ。
もうすぐ授業始まるよって。
これ以上レオくんに迷惑をかけるわけにはいかないし、先生に怒られるわけにもいかないし。
仕方がないから、ゆっくりとまぶたを持ち上げる。
「……ん……」
「やっと起きた。ここで寝たら風邪引くよ」
「うぅ、ごめんなさい……。あ、そうだレオくん、……数学、写させてぇ……」