魅惑の絶対君主


「……っ! っっ相楽さん……?」


カッ!と意識が覚醒する。

それまでまるで存在感のなかった鼓動がドクドクッと耳元で響いた。



「あ……う、あぁ……帰られてたんですね、おおお疲れ様です、っ」



仰け反る勢いで移動したソファの隅で、これに至るまでの記憶を爆速で巻き戻す。


マンションに着いてお風呂に入ってご飯を食べて歯磨きをして課題を広げて……。

そしたら全然わからなくて、ノートの数式も途中で止まって途方に暮れてたら、うとうとしてきて……。


そのまま寝ちゃった。

バッと時計を見あげる。



───11時!?


意識が落ちる前に確認したときは、8時半だったはず。

3時間近く眠ってたの……っ?


ソファで自堕落な寝姿を晒した挙句、寝ぼけて『数学写させて』とか言っちゃった……!!


相楽さんも、いつになくちょっと不機嫌そう。

別にわたしのこと睨んでるとかじゃないけど、どことなく不穏なオーラ出てる……。


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