魅惑の絶対君主

……え?

なんの説明もなしにことが始まってびっくりする。


昨日はわたしからキスができたら終わりっていう条件だったけど、今日はなにをするんだろう……?


尋ねようとしたけど、何度も降ってくるキスにそれどころじゃなくなった。



「ん……、ん……うぅ」


麻 薬 が注ぎ込まれる感じ。

じわじわと甘いのが侵食して、ぐったりと力が入らなくなる。


すると必然的に相楽さんに体を預けるしかなくなって、隙間がないくらいぴったりと体がくっついた。


甘いキスは“仕事”だってことを忘れさせる。

これはとても由々しき問題。


体温に触れていると、まるで最初から恋人だったみたいな錯覚が起きるんだ。

理性が溶けて、誘われるままに落ちていく。


もう戻れなくなるくらい、深いところまで──。



「冬亜、自分から絡めて」

「え……、っん」

「昨日も教えたけど……下手くそだからもういっかい」


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