魅惑の絶対君主

相楽さんは一度だけ、静かに「うん」と相づちを打った。



「でも、相楽さんに触れられると、なんか、そういう冷めた感情じゃいられなくなって……体が反応しちゃう自分が、み、みっともなく思えて……」



そこまで話すと、再び涙が滲んできた。



「相楽さんは仕事としてわたしに教えてるわけだから、愛されてるわけじゃないのに。気持ちいいこと教えられたらもっと欲しいって思っちゃって、お互いに好きじゃないのにこんなことして、いっぱい感じちゃって、っ、商品だからそれでいいはずなのに、気持ちよくなるたびに商品だって自覚して悲しくなって、もう、ぐちゃぐちゃで……」



嗚咽がこみ上げる。

ぜんぜんまとまりがなくて、自分でも最後まで何を言ってのるかわからなかった。


わからないけど本心だった。

心の暗いところにあった気持ちたちが全部言葉になって出ていった。



「っ、もうやだよぉ……っ、自分のことどんどん嫌いになっちゃう……」


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