魅惑の絶対君主

全部出し切った瞬間、保育園児みたいに声をあげて泣いてしまう。


小一時間はそうしていたと思う。


疲れ果てて涙が枯れるまで、相楽さんはずっと背中をさすってくれていた。



……とんでもなく迷惑を掛けてしまった。

ようやく頭が冷えてくると、自分の今したことに対して火がついたみたいに恥ずかしくなってくる。


16にもなって、人様の前であれだけ取り乱して……。


穴があったら入りたい。

叶うならこのまま消えちゃいたい。


とりあえず、いい加減相楽さんから離れないと……。


そう思ったとき、すぐ近くでスマホのバイブ音が鳴った。



「……相楽さん、鳴ってますよ」

「知ってるよ」


「……出なくていいんですか? こんな時間にかかってくるなんて、急用かも……」

「仕事の呼び出しだよ。急に同僚が一人トんだから、その穴埋めで0時には事務所に戻れって言われてたんだよね」



そう言いながら、相楽さんが腕の力を緩めた。


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