魅惑の絶対君主

朝出勤してさっき帰ってきたばっかりなのに、またすぐに仕事に戻らなきゃなの……?


さすがにブラック過ぎるんじゃ……。


そう思いながら、部屋の時計に視線を移して──直後、固まる。



「さ、相楽さんもう0時過ぎてます……!」

「知ってるよ」

「ええっ! す、すみません……わたしのせいですね、怒られますよね、ごめんなさい……!」



冷や汗が止まらないわたしをよそに、当の本人はのんびりとベッドから立ち上がった。



「俺は日頃の行いが良いからへーき。“帰ったら商品が風呂でのぼせてたので介抱してました”とかなんとか言えば処分は受けない」

「う……そう、ですか」



思えばわたしが目を覚ましたとき、相楽さんはスーツ姿だった。

お風呂あがりなのにヘンだなって思ったんだ。

そのときに気づくべきだった。

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