魅惑の絶対君主


相楽さんの超人っぷりは理解しているものの、さすがに心配。


「ご飯ちゃんと食べてますか?」と聞くと「食べてるよ」と返ってくる。

ちゃんと生きて動いてるから、まあ、栄養はどうにか足りてるんだろうな……。


でも、いまだに豚の角煮以外を口にするところを見たことがないので、栄養源は煙草説が密かに濃厚になってきた。



それはさておき、体の訓練。


振り返るのも恥ずかしいほど、毎晩毎晩、狂うくらいに相楽さんに乱されている。


そんな自分をみっともない、とは、もう思わなくなった。



──『冬亜が商品なのは間違いないけど、べつに俺は“物”を管理してるつもりはないからね』



いつもテキトウな物言いの相楽さんだけど、あの言葉だけは演技じゃないってわかった。


自分の管理する商品が訓練に後ろ向きになった場合、普通なら同情を交えながらなだめたり過剰に褒めたりして機嫌を取るはず。


大丈夫だよとか、そんな慰めの言葉じゃないのが相楽さんらしかったから、信じられたんだと思う。

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