魅惑の絶対君主
まずはネクタイ。
結び目に指をかけて、下方向に引っ張る。
相楽さん、雰囲気はゆるゆるなのに、スーツはきっちり着るタイプみたい。
ボタンは一番上まで留まっていた。
「じゃあボタン……外していきますね」
「うん」
ひとつめ、ふたつめ、みっつめ……。
本当に全部わたしに任せるつもりらしく、相楽さんは微動だにしない。
いや、それほど体がきついんだろうな。
「ボタン全部外したので、シャツ引っ張りますね。まずは左からいきますよ、腕、少し上げられますか?」
「冬亜」
「はい」
「……看護師さんみたいだね」
ふいに目を細められ、ドキッとした。
「ど、うも、ありがとうございます……?」
「はは、すーぐ赤くなる」
「うぅ、からかわないでください」
「毎日お世話してほしいなあ」
「もっ、集中できないので黙っててください……!」