魅惑の絶対君主
からかってくるのはいつものことだけど、なんか今日は微妙に様子が違う気がする。
倒れたんだから、おそらく熱もあるんだろうな……。
シャツを脱がしたあとにパジャマを通して。
ズボンは……指に力が入らないと言うので仕方なく、ベルトまでは外してあげた。
「もう朝の3時なんですからすぐに寝なきゃだめですよ」
「うん」
「言ったそばからスマホをいじらないでください」
「仕事のメール一応確認してるだけ」
感心を通り越してもはや呆れる。
この人、正真正銘の社畜だ。
弱ってるときにも仕事のこと考えて、このままじゃ体壊れていく一方だよ……。
自分のことじゃないのに、少し泣きそうになってしまう。
「メールの確認なんてしないでいいからっ、とにかく早く眠って……!」
ベッドに乗り上げて、相楽さんのスマホを奪う。
すると勢いあまって、体がバランスを崩した。