魅惑の絶対君主
「朝ごはんまだですよね」
「そうだね」
「わたしのご飯食べてください」
「はあ?」
「過労で倒れて、点滴までして……。栄養取らないとまた同じ目に遭いますよ」
「べつにいいよ」
そう言いながら、またスマホを取り出そうとする。
「わたしが困るんですよ! もし相楽さんがこのまま再起不能になって担当の人が変わったら……嫌、だし」
「再起不能はウケる」
「勝手にウケないでください……」
だめだ、どうやっても軽く流されてしまう。
慌てて次の手を考える。
今のは口から出まかせだったけど……もし本当に相楽さんがいなくなって、担当の人が変わるようなことがあったら……。
想像すると、背筋がぞっとした。
えっ、本気で嫌だし無理かも……。
「相楽さん、!」
「わかったよ。カップ麺あけるから」
「カップ麺じゃだめです!」
「わかったわかった。今からコンビニで買ってきてちゃんと食べるよ」
「え、でも……弱ってるのに出歩いていいのかな……」
「あのな、そこまでひ弱じゃねーのよ」