魅惑の絶対君主
「え? これ……プリン?」
「昨日着替えさせてくれたお礼」
それだけ言うと、ポケットから煙草を取り出してベランダへ。
離れていく背中とプリンを交互に見つめる。
このプリン、普通のプリンじゃなくて、コンビニの中でもお値段がドンと張る高いのだ。
窯出しのとろーりカスタードプリン。
たしかひとつ300円ちょっとしたはず。
アパートに住んでた頃、コンビニのスイーツコーナーをよくウィンドーショッピングして回ってたから覚えてる。
いまだかつて口にしたことのないそれを、ごくりと息を呑んで見つめた。
自分のごはんは100円で済ませるくせに、わたしには約3倍値の高級プリン……。
「これじゃあ怒れないじゃん、ずるいんだってば……」