魅惑の絶対君主


「冬亜ちゃんて本当にお兄さんのことが好きなんだね」


にこっと笑いかけられて、固まってしまう。



「っあ……、断じて好きとかじゃないですっ、ただほんのちょっと心配なだけで」

「ははっ、ツンデレさんだ」

「……っ」



首から上がかあっと熱を持つ。

同時に、昨晩相楽さんの同僚を名乗る人に言われた言葉が頭をよぎった。



──『忠告だけしといてやる。あいつのこと好きになるなよ、絶対に無理だからな』


違うよ……みんな揃ってなんなの?

好きじゃないもん……。



「──あ、そういえば鏑木先輩。この前の全校集会のとき……──」



無理やり話を逸らさせる。

思いのほか盛り上がって、15分くらい立ち話をしてしまった。


< 173 / 245 >

この作品をシェア

pagetop