魅惑の絶対君主
「冬亜ちゃんて本当にお兄さんのことが好きなんだね」
にこっと笑いかけられて、固まってしまう。
「っあ……、断じて好きとかじゃないですっ、ただほんのちょっと心配なだけで」
「ははっ、ツンデレさんだ」
「……っ」
首から上がかあっと熱を持つ。
同時に、昨晩相楽さんの同僚を名乗る人に言われた言葉が頭をよぎった。
──『忠告だけしといてやる。あいつのこと好きになるなよ、絶対に無理だからな』
違うよ……みんな揃ってなんなの?
好きじゃないもん……。
「──あ、そういえば鏑木先輩。この前の全校集会のとき……──」
無理やり話を逸らさせる。
思いのほか盛り上がって、15分くらい立ち話をしてしまった。