魅惑の絶対君主

というわけで、食事をいったんダイニングのテーブルに置いてから、相楽さんのいる書斎へ向かおうとしたら、

書斎に着く前に相楽さんと鉢合わせた。




「相楽さんちょうどよかった、今呼びに行こうとしてて……」

「食事受け取るのに何分かかってんの」

「え? あ……」


そういえば、あとで詳しく話す約束をしていたんだった。


『よかったら今後も料理の感想を聞かせてほしい』と言われて、以降、土曜のお昼だけは対面で受け取っていたことと、

その宅配員さんが同じ高校の先輩だということを一から説明した。



「毎週話してるうちにだんだん仲良くなったんですよ」

「へえ」

「鏑木先輩、食材についてもすっごい詳しくて。さっきも、疲労回復にはクエン酸が効くって──んっ」


突然、会話が遮られた。

……相楽さんの唇によって。


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