魅惑の絶対君主
沈黙が生まれたのち、従うべき君主様に盾突いたという自分の失態に気づいて、ハッと青ざめる。
「す、すみません……、訓練なら相楽さんの体調が回復してから2倍でも3倍でも頑張るので……今だけはわたしのいうことを聞いてください」
相楽さんの手に自分の手を重ねてじっと見上げる。
すると思いのほかすぐに諦めた様子で。
わたしが手を引くと、素直にベッドまでついてきてくれた。
「ベッドに入ったまま待っててくださいね」
念を押して、わたしはスタコラとダイニングへ。
料亭・鏑木のお膳を持って寝室に戻ってきたわたしを見て、相楽さんはわかりやすく顔をしかめた。
「なんか嫌な予感するんだけど」
「相楽さんがこのまま栄養を取ってくれなかったら、わたしは不安でストレスで眠れなくてクマもできて肌も荒れて、商品としての価値が落ちます」
「………」
「現に、昨日は相楽さんの帰りを待っているあいだ不安すぎて心なしか胃が痛くて眠れませんでした」