魅惑の絶対君主
麺を啜りながら、ちらっと相楽さんを見る。
よかった。
ちゃんと鶏肉も食べてくれてる……。
相楽さんが食事をとっている姿はとても新鮮。
すごく大きい単位のくくりだけど、ちゃんと同じ人間なんだなあって実感して、相楽さんの存在を少しだけ身近に感じられた。
「そういえば、初めてここに来た日も相楽さんがカップ麺作ってくれましたよね」
「カップ麺を“作った”とは言わないけどね」
「相楽さんがわざわざわたしのためにお湯を沸かして注いでくれたんだから、“作ってくれた”で合ってますよお……」
「はいはいそうだね」
いつものごとく棒読みのテキトウ相槌だけど、返事をくれるたびに、胸がくすぐられるような嬉しさがこみ上げてくる。
「そのニヤつきはなに」
「へへっ、前からずっと相楽さんと一緒にご飯食べたかったから、ようやく叶って嬉しいなあって」
「……自分を軟禁してる相手によくそんなこと言えるな」
「相手が誰だろうが、誰かと一緒に食べるご飯は美味しいんですよ。今日は相楽さんと一緒だから、このカップ麺こそが世界一の味ですっ」