魅惑の絶対君主


──────と、思っていたのに。




「あぁ、っ、そこ、触っちゃやだ……っ」



現在、22時を回ったところ。

わたしは、そんな口をきく余裕もないほど乱されていた。



すっかり忘れてた。

金土日で訓練がなかったぶんの埋め合わせがきっちり行われること。


それ以前に、自分の口から『2倍でも3倍でも頑張ります……!』と宣言していたことを思い出して頭を抱える。


わたしのバカ!

今度からはもうちょっと考えてものを言うようにしよう……。



──なんて頭の中で反省する余裕すら奪っていくのが相楽さんだ。



「もう何回もやってるでしょ。いい加減慣れろね」

「も……っ、いやぁ」


「そういうときは、やだとかいやじゃなくてなんて言うんだったっけ、教えたでしょ」

「……ぅ」



あくまで優しい口調で注意されると、余計に恥ずかしさが募る。


視線をズラしながら、前に教えられたとおりの言葉を口にすれば、相楽さんは満足げに微笑んだ。


その笑顔にいちいち胸がぎゅうっとなるの、もうやめたい。

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