魅惑の絶対君主
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「そういえば、冬亜の通学についてなんだけど……」



──────約30分後。

明かりを落とした真っ暗な部屋で意識を手放しかけていたのを、相楽さんの声に引き止められた。


……通学。


そうだっ、わたし、これ以上相楽さんの時間を削らないために、電車通学にしてもらえないか尋ねようとしてたんだった……っ。



「急なハナシで悪いんだけど、冬亜、明日から電車で行ける?」

「………へ」


何もかも見透かしたタイミングにしばらくフリーズする。



「あれ……? わたし、電車で行きたいですってもう相楽さんに伝えてましたっけ?」

「へえ。なあんだ、冬亜もそう思ってたんだ」

「は、え……?」



えっと、この言い方てきに……



「相楽さんもわたしを電車通学にさせたいって思ってたんですか?」


「いや。今日、上からのお達しがあったんだよ。また倒れられたら全体に支障が出て困るから、担当の──冬亜の送迎を他の人間に頼むように」


「っえ、別の人に……」

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