魅惑の絶対君主
さっきまであれだけ熱かった体からすうっと熱が引いていく。
「うん。だから、“冬亜は絶対に逃げないように俺が躾けてるので、明日からひとりで行かせます”って言っといた」
「ええっ、それで上の人は了承してくれたんですか?」
「最初は少し渋られたけどね。言ったでしょ、俺は上からの信頼が厚いんだよ」
たしかに、前にもそんなことを言ってた気がする。
でも、そっか……よかった。
これで相楽さんの大事な時間を削らなくて済む。
一緒にいられる時間が少し短くなるのは、少し寂しいけど……なんて気持ちは閉じ込めて、鍵を掛けておけばいい。
「電車のICカードはウチで用意したから明日渡す」
「ありがとうございます」
「ちなみに、通学路を大幅に逸れたときはすぐにウチの輩が動くからね」
「う……はい。胸に刻んでおきます」