魅惑の絶対君主
そう言い聞かせて目を閉じた。
でも、一向に眠れる気配がない。
目をつぶっていても、サキちゃんが相楽さんにメモ紙を渡す光景が何度も何度も脳内で再生される。
「相楽さん……」
なんだか堪らなくなって、ついには名前を呼んでしまった。
起きてますように。
もう寝てますように。
矛盾したふたつがぶつかりながら反応を待つ。
「……なに」
返事が来た瞬間にドクリ。
相楽さんが暗闇の中でこちらを向く気配がしてドクリ。
わたしの心臓は、相楽さんの言動ひとつひとつに紐付けられてるみたいに反応する。
昼間は聞けなかったことも、相手の顔が見えない今なら聞ける気がしてきた。
「サキちゃんに、もう連絡しましたか……?」
しばらく返事がなくて、いっきに不安になった。