魅惑の絶対君主
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『俺は上からの信頼が厚いからね』
──だから、大丈夫。
冬亜を安心させるときに使う都合のいいまじないのようなこのセリフも、あながち嘘じゃない。
ひたすら従順に生きてきた。
ただそれだけなのに、得られた信頼はいつの間にか絶大なものになっていた。
事務所の役員連中の“お気に入り”。
周りはそうやって俺を羨むけど、そんな風に評されることに辟易している。
なんせ男同士の嫉妬の醜さには底がない。
「幹部補佐」とかいうご立派な役職をつけられたせいで、最近増々いらない妬みを買うことが増えた。
上にあがりたきゃ勝手にしろ。
ああしろ、こうしろ。
言われたことをこなすだけ。
首を横に振らなければいいだけのハナシ。
なにも難しいことじゃないはずだ。