魅惑の絶対君主
誰もが望む、“上からの信頼が厚い”という評価。
譲れるものなら譲ってやりたいと思うほど心底どうでもいいものだったけど、
冬亜を担当してからというもの、予期せず何度か役に立つことがあり、最近は捨てたもんじゃないなと思い始めた。
部屋に監禁するのではなく軟禁にしたことも。
オークションまでのあいだ学校へ行くことも。
見張りの付き添いなしで通学させることも。
俺じゃない人間が頼み込めば、ふざけるなと怒鳴られて終わり。
冬亜をひとりで通学させると言ったときは、さすがに少し渋られた、が……。
たがだか同僚にあの子を預けられるわけがないので、あの場では無理矢理こちらの要望を呑ませた。
どいつもこいつも「面倒くさい」と言いながら、心の内ではオークション行きの女を喜々として受け入れ、
己の欲を満たすための道具として利用する。
冬亜の送迎を任せれば、すぐにでも車の中で犯 しにかかるだろうな。
──想像したくもない。