魅惑の絶対君主

「鈴木冬亜……お前の報告によれば、まだ生娘だそうじゃないか」

「……───」



まさか、と息を呑んだ。



「お前が仕込みをサボっていたのか丁寧に順序を踏ませていたのか知らんが、まだ男を受け入れたことがない体……それが大変お気に召したようでね」


「……。そういうことでしたか」


「しかも、初期の報告では感度もよく声もよく、“見込みがある”……と言っていたね。俺はお前の目を、誰より信用している」




上の連中からの信頼・信用。


まさかそれが裏目に出る日が来るとは思わなかった。




「鈴木冬亜の引き取りは明日、土曜の昼だ。準備しておけ」

「ずいぶんと急ですね」

「生娘に“キズ”がつかないうちに……だよ。わかったな」



“従順”に生きてきた俺は

“逆らう”方法がわからない。



「──承知しました」


頭が殴られたように痛かった。