魅惑の絶対君主

言葉が出なかった。


まさかレオくんと鏑木先輩に繋がりがあったなんて……。



「冬亜ちゃんは今、相楽って人と一緒に住んでるんだよね。鏑木先輩はそいつのことを冬亜ちゃんのお兄さんだって言ってた」

「それ、は……」


「なんか変だと思ったから、鏑木先輩には冬亜ちゃんの苗字もお兄さんってのも否定しなかったけど……。これ、どういうこと? ちゃんと説明して」



心臓が激しく脈打って、思考を妨げてくる。


どうしよう、どうしたら。

そう考えるばかりで、なんの言い訳も思い浮かばない。




「あの母親が出ていったって聞いて、もしかしてとは思ってたけど……。冬亜ちゃん自身が借金のカタにされてんじゃないの?」

「……っ!」


「やっぱりそうだ! 体で稼げとか言われてあの家に置かれてるんだ、違うっ?」



追い詰められた。

ここまで詳しく言い当てられて、言い訳ができるはずがない。

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