魅惑の絶対君主
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レオくんはあんな場面で、でたらめを言う人じゃない。


ストックホルム症候群という精神障害は、きっと実在するんだろう。



わたしの相楽さんへの気持ちは、勘違いなの……？


電車の中でも、マンションに帰り着いてからも、そのことが頭からひとときも離れなかった。



たしかに……相楽さんの会社は、違法な金利でお金を貸したり、違法な取り立てをしたり。

挙句、人身売買にも手を染める犯罪組織だけど……。



相楽さんの優しさは本物だった。

その優しさに救われたことが何度もある。


でも……。



──『本当は憎むべき相手でも、長時間一緒に過ごしてるうちに“自分は相手に好意を持ってる”って脳が勘違いを起こすんだ』



憎むべき相手……たしかにそう。


わたしは相楽さんの手で商品として育てられて、オークションに出される。


長時間一緒に過ごしている……。

これも当てはまってる。

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