魅惑の絶対君主
いつの間にか泣き疲れて眠っていたらしい。
ソファの上……相楽さんの腕の中で目を覚した。
カーテンから微かな光が差している。
もう夜が明けた……みたい。
そんなとき。
時計の針が刻む音だけが聞こえる室内に
「冬亜」
と、静かな声が響いた。
矢先、
カチャ……と無機質な音が鳴る。
見ると、相楽さんの手の中に、わたしのチョーカーがあった。
「……、え?」
外されたチョーカーと、相楽さんの顔を交互に見つめる。
「なん、で……?」
「鍵は事務所が管理してるとは言ったけど、俺がスペアを持ってないとは言ってないからね」
「……、そういうことじゃなくて、外したら……監視ができなくなる、のに」
「いいよ。もうその必要ないから」
言ってることがますますわからなくなる。
「冬亜、自分の事情を打ち明けられる友達はいる?」
「え? うん……」
真っ先にレオくんのことが頭に浮かんだ。
「その人の家の場所はわかる?」
「わかる、……けど」
「じゃあ今からここを出て、その友達の家に行くんだよ。俺は知らないフリしとくから」