魅惑の絶対君主
とりあえず、言われるままに荷物をまとめた。
ここに来たときと変わらず、大きなバッグ一つに余裕で収まってしまうくらいの荷物。
「引き取りにきた人に、わたしがいないことをどうやって言い訳するんですか?」
「上手いこと考えてあるから心配無用」
「……首、飛びませんか?」
「ずっと言ってるでしょ。俺は上からの信頼が厚いから大丈夫だよ」
「本当に、すぐ迎えに来てくれるんですよね?」
「……うん。約束する」
今日引き取られてとつぜん相楽さんに会えなくなるより、
すぐに迎えに来てもらったあと、オークションの期限まで相楽さんと過ごすほうがいいに決まってる。
わたしはそのとき天秤にかけた安易な結果を、信じて疑わなかった。