魅惑の絶対君主
「……ごめん。やっぱり、まだ相楽さんのこと忘れられないの……」
そう言って、わたしは深く頭を下げた。
「それでもいいよ。冬亜ちゃんのそばにいたい、絶対幸せにする。だからお願い、僕と付き合って」
初めから返事は決めていたのに。
震える声と、真剣な眼差しに触れると、どうしても心が揺らいだ。
相楽さんを好きな気持ちは変わらない。
でも……レオくんは、ずっとわたしを支えてくれていた。
こんなに想ってくれてる人を、わたしのわがままな未練を理由に、傷つけてもいいの……?
「冬亜ちゃん……」
「……っ」
── 一瞬、頷きかけた。
レオくんの気持ちに、いつかは応えたい。
──でも。
わたしはこの手を取る前に、まだやるべきことがある。