魅惑の絶対君主
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仏の顔も三度までとはよく言ったもので、



”上からの信頼が厚い”という切り札も、4度目は効力を発揮してくれなかった。




女ひとりを逃がしてもお咎め程度で済むだろうという甘い考えは見事に打ち砕かれ。


待っていたのは一年間の謹慎処分。




もちろんウチの事務所の謹慎処分は、出勤停止なんてぬるいものじゃない。


時間の流れがまったくわからない場所で、耐えがたい折檻が施される。




『いっそ殺して楽にしてやろうか』



幾度となく囁かれたセリフに頷きはしなかったものの


死んでもいいという考えは俺の中に常に存在していた。


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