魅惑の絶対君主



撃たれたとき、そこまでの驚きはなかった。

なんとなくこうなる気がしていたし、こうなってもいいと思っていた。




──だけど。


“ 相楽さん”



暗闇に落ちていく中で、何度も何度も俺を呼ぶ声が聞こえて。


指先に、よく知った体温を感じて。




この小さな手だけは


──────絶対に離したくないと思った。



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