魅惑の絶対君主
この人、のんびりしてるように見えるけど、逆らおうとすれば問答無用で酷い目に遭わされる。
そんな予感がする。
まずは素直に言うことを聞くのが賢明かもしれない。
すべてを諦めたフリして従順にしていれば、相手も徐々に油断してくるはず。
それまでは念入りに逃亡計画を練って、油断した隙を狙って逃げよう……。
そんな考えすら見透かしてきそうな瞳から逃げるように立ち上がり、黙々と荷物をまとめることにする。
とはいえ、物という物がない一室。
とりあえず教科書類などの学校で使うものを大きなバッグに集めた。
あとは衣類……。
替えの制服を取ろうとハンガーラックに手を掛けたとき、ふと影がかかった。
「この期に及んで学校に行けるとでも思った?」
「……っ!」
いつの間にか背後に立っていた彼が、わたしの代わりに制服をひょいと掴み取る。