魅惑の絶対君主
「不、運?」
「気をつけろよ、相楽は常に猫被ってるから。もちろん現在進行系で」
「え……」
「こいつの地声はもっと低いし、口調もかなり荒めだから」
そう、なの……?
ただでさえ怖いのに、もっと怖いってこと?
「猫被ってんじゃなくて、板に付いて治んなくなったんだよ。地声とか本性とか、もう思い出せない」
「笑えないほどの社畜だな」
ふたりの会話が終わると同時、重たそうな扉が音もなく開いた。
「“いらっしゃいませ、相楽様。どうぞ中へお入りください”」