魅惑の絶対君主

中はひたすら薄暗かった。


見た感じ高級バーに間違いなさそうで、やっぱりここでお酒を飲むのかと思ったけど、そうじゃないみたい。


バーカウンターを抜けると、さらに暗い廊下が続いていた。


相楽さんは相変わらずわたしの手を握ったまま奥へと進んでいく。


足を止めたのは突き当たりの少し手前。

胸元からなにやらカードのような物を取り出して、宙にかざしてみせた。



壁に向かって何をやってるんだろう……?

と不思議に思うやいなや、壁が動いてびっくりする。



「っ!? え、」


やがて現れたのは、下に伸びる階段だった。

ここは1階だから……どうやら地下に続いているみたい。



「下りるよ」

「お、下りて何をするんですか?」

「言ったでしょ。三ヶ月後のお前を見せてやるって」



一歩踏み出したとたん、冷気を感じて。


わたしは無意識に、繋いだ手をもう一度強く握りしめていた。

< 41 / 245 >

この作品をシェア

pagetop