魅惑の絶対君主
中はひたすら薄暗かった。
見た感じ高級バーに間違いなさそうで、やっぱりここでお酒を飲むのかと思ったけど、そうじゃないみたい。
バーカウンターを抜けると、さらに暗い廊下が続いていた。
相楽さんは相変わらずわたしの手を握ったまま奥へと進んでいく。
足を止めたのは突き当たりの少し手前。
胸元からなにやらカードのような物を取り出して、宙にかざしてみせた。
壁に向かって何をやってるんだろう……?
と不思議に思うやいなや、壁が動いてびっくりする。
「っ!? え、」
やがて現れたのは、下に伸びる階段だった。
ここは1階だから……どうやら地下に続いているみたい。
「下りるよ」
「お、下りて何をするんですか?」
「言ったでしょ。三ヶ月後のお前を見せてやるって」
一歩踏み出したとたん、冷気を感じて。
わたしは無意識に、繋いだ手をもう一度強く握りしめていた。