魅惑の絶対君主
「お待たせ致しました。次の商品は17歳の少女です」
ステージ中央──スポットライトの照らすところにはひとりの女の子がいた。
その子は手を後ろで縛られ、ややうつむき加減で立っていて。
顔、胸元、腰周り……あらゆる角度からの映像がモニターに映し出されている。
下着のようなものが身に巻かれてはいるけど、透け透けでほとんど機能を果たしていない。
裸同然の格好……。
「生まれながらに色素が薄く、髪は綺麗なブラウン。見ての通り上品な顔立ちをしております」
ステージ脇で、司会者が“商品”の説明をしている。
さっきは映画の中に迷い込んだ気分だったけど、今は映像を眺めているかのような感覚。
「じっくりご確認いただけましたでしょうか。……それでは、5千万円から参ります」
そんなアナウンスと同時、仮面をつけた人たち──お客さんが一斉に手元のタブレットに向かい始めた。