魅惑の絶対君主
やがて、ステージ上のモニター画面が数字に切り替わった。
『¥50,000,000』という今まで目にしたこともない値段が、次から次へと更新されていく。
「7千万……7千5百……8千……、おおっとここで1億! 1億が出ました!」
お客さんの間からワッと歓声があがる。
「もうこれ以上はいらっしゃいませんか? いらっしゃらない場合、27番様の1億にて落札とさせていただきます」
会場は絶えず騒がしい。
そんな中、さらに数値が更新された。
「1億5千が出ましたー! 他にはございませんか? ………それでは──」
だんだんと司会者の声が小さくなっていく。
心なしか視界もぼやけ始める。
1億……五千万円……。
ここは、人に値段をつけて売る場所……。