魅惑の絶対君主

もう、いいや。
すごく疲れた。

考えることを放棄して、再び目を閉じた。


……ものの、空っぽになったお腹がぐうっと音を立てる。


そうだった。

ハンバーグを食べる気満々で帰ったのに、相楽さんがいたおかげで叶わず。

荷物をまとめたり寄り道したり……振り回されて、もう何時間経ったんだろう。


お腹が減って戦どころか睡眠もままならない。


空腹感に支配されて、意識も冴え冴えしてきた。


ぐぅーっと絶え間なく響くお腹の音に次第に羞恥が芽生えて、思わず上体を起こす。



そんなときだった。
部屋の扉が開いたのは。



「あ、起きてる」


そう言って、のんびりと歩み寄ってくる相楽さん。


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