魅惑の絶対君主
相楽さんにつられてわたしも席を立つ。
「あの、カップ麺のゴミは」
「そこのゴミ箱にテキトウに投げといて」
「は、はい」
“そこのゴミ箱”がわからず部屋をきょろきょろしていると「足元足元」と声が掛かる。
ハッと見るとすぐそこのテーブルサイドに備え付けられていて、またしても恥ずかしくなった。
うう……絶対鈍くさいって思われた。
うなだれながら相楽さんについていった先はお風呂場。
「これ着替えね」
まるごと一式どさっと渡される。
一番上に新品のショーツが乗っていて、ひとり勝手に気まずくなる。
「そこの歯ブラシとかドライヤーとか、オイルとか化粧水も好きに使いな。全部新品だから」
「わあ……ありがとうございます、ご飯やらお風呂やら、何もかも……」
「……。あのさ、いい待遇をするのは当たり前なんだよ、お前は商品だから」
「………」
「オークションまでの間、傷モノにならないように十分な衣食住を与えて品質を管理するのがこっちの仕事。……ま、それでも感謝したいっていうなら勝手にどうぞ」