魅惑の絶対君主
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「あがりました。お風呂ありがとうございました」



髪を乾かして、ついでに歯磨きも済ませて。

言われたとおりベッドのある部屋に戻ると、相楽さんはソファの上で本を読んでいた。



本とか読むタイプなんだ……。


意外に思いながら近づくと、ぱたりと閉じてしまう。



……意外、だったけど、よく似合ってる。

この人、言動は軽薄だけど、それを凌駕する上品さが隠しきれてないもん。



やっぱり、いいとこころのお兄さん、にしか見えない。

つい見入ってしまう。



「なに」


その一声で我に返った。



「な……なにを読まれてたのかなって」

「エ口本」


「っ、え、」

「冬亜も読む?」



薄く笑う唇に不覚にもドキっとなった。



「け、結構です」

「そんなこと言わないでさ……ね?」



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