魅惑の絶対君主
常にそこはかとなくだるい体。
常にどこかぼんやりとした頭。
ここ数年はそれが当たり前だったから、いつの間にか苦痛に感じることはなくなっていた。
──だから、こんなに心地いい目覚めの朝が存在することに、驚きを隠せなかった。
カーテンから差し込む光に誘われるように意識が浮上して。
自ずと瞼が開いた先には、端正な顔があった。
体がぽかぽか温かいのは、もちろんブランケットのおかげもあるけれど。
彼が──相楽さんが、わたしを抱きしめるような形で眠っていたからだと気づく。
この温かさは現実だ。
お母さんが借金と引き換えにわたしを差し出したことも、
オークション会場で女の子が売られていたことも、
相楽さんの家に連れて来られたのも、全部現実。