魅惑の絶対君主


“相楽さんが死んでも逃げられない”の意味がよくわかった。


わたしの位置情報は相楽さんだけじゃなく相楽さんの同僚さんにも監視されている。

ロックを解除するための鍵は、事務所が管理している。


よって相楽さんの睡眠中に逃げることも不可能……。



「酷い……」


思わず零れた声に、相楽さんはようやく顔をあげた。



「本来はベッドに鎖で身体ごと繋いでおくのがウチの決まりでね。これはだいぶ優しいほう」

「………」

「それに、まだ希望はあるよ。冬亜がウチの事務所を全滅させれば解決するハナシなんだし」



ここでにこっと笑うのが、相楽さんのなんとも憎たらしいところだ。



「ふざけたこと……言わないでください」

「うん。そうやって憎んでおけばいい。誰かを憎むことも生きる理由になり得るからさ」



わたしの頭をぽんぽんとテキトウに撫でてから、相楽さんはライターに火をつけた。


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