魅惑の絶対君主
バサバサ切り倒すような返事の仕方は相変わらず。
そんな相楽さんは、いつの間にかスーツに着替えていた。
出かけるのかな?
今日は土曜だけど……まあ、相楽さんのお仕事に平日休日は関係なさそう。
昨日バーで会った人にも「社畜」だとか言われていたのを思い出す。
テーブルには一膳だけ。
「相楽さんはご飯食べないんですか?」
「俺は腹が減ったときに食べる主義なの」
「それは健康に悪いですよ……」
「別にいいよ。長生きしたくないし」
投げやりな返事を最後に、ダイニングを出ていってしまう。
仕方なくひとりで手を合わせた。
“長生きしたくない”……かあ。
お味噌汁を啜りながら反芻する。
別に長生き“しなくてもいい”、だったらまだわかるけど、長生き“したくない”ってどうなの?